オバフォー夫婦の高度不妊治療日記(夫版)

夫の側から見た、高度不妊治療および超高齢出産について記していきます。

移植準備(3)移植前の診察にて

移植スケジュールを決めた次の週末の8月17日、KAWA夫妻は再び9時30分に品川へ赴く。

前回はなかった採血が今日はあり、それを終わらせた後に子宮内膜の厚さを計る。

その後呼び出されて、前回の女性医師と面談。

単位はよくわからないが、347pg/mlという値だそうで、これなら今クールで移植に入れる、と言う。品川から進んできた列車は、ようやく浜松町から新橋についた、という認定だなと思った。ただこの区間は距離も無いし急坂等の難所でもない(ここで妨げられる何かがある、というよりも、遅かれ早かれたどり着けるところなのだろう)。あまり前進を感じさせられない前進だった。

 

8月28日以降で移植しましょう、と言われ、それでは週末の方がありがたいし、と31日土曜日を移植日に決定した。そのあと不安になって「実はそれより早かったり遅かったりする方がベストの状態、ということはありませんか?」と聞いてみたのだが、それは薬を飲み始める時期で調整ができるから問題ない、とのこと。

繰り返しになるが、胚移植とは、解凍した前核期受精卵を子宮に入れてもらうものであり、今回は8つある前核期受精卵のうち3つを解凍して2つを子宮の中に入れてもらう。「入れる」といっても、その時点では子宮にプカプカ浮かんでいるだけの状態であり、それが内膜に付くと「着床」となる。受精卵が着床すると、HCGというホルモンを体内に放出するようになって、それが尿の中で検知されると妊娠確認完了となるのだ。ここまで来たら有楽町、と言ってもいいのだろうが、そこはやはり相当な難所なのだろう、と受け止めた。その確率について医師に無理に問うことはしなかったけれど。

 

一方で残った1つの受精卵はそのまま培養して胚盤胞になるかを確かめていく。これはいわば新橋から有楽町に至るまでに汐留を経由するようなもので、これも難所越え。5日くらいで汐留に到達したかどうかが分かり、到達していたらそこで時間調整(再度冷凍)、到達していなければサヨウナラ。

残り5つの前核期受精卵は凍ったまま浜松町で待機。この先に行った列車が全滅したらまた新橋に向かったうえで解凍することになるのだけれど。

 

 また、今回大事なお薬を渡されることになった。それが「ルトラール」。これは黄体ホルモンの薬で説明書きには「子宮内膜に作用し、着床を助けます」とある。これを28日水曜日の午前中に飲み始める(=ここで移植日を調整するわけだ)のだが、診察を受けたときの医師、移植手術の流れを説明してくれたコーディネーター、薬を渡してくれた受付、の3人から「飲み始めは必ず忘れないように。そして飲み忘れたらいったん移植を延期します」と繰り返し言われたぐらいシビアなものだった。自分がちゃんと気を留めておかなければ、とKAWAは思った。特に、「お風呂の間も貼っておいて直後に張り替えるなど、いつも貼ったままの状態にしておいてください」と繰り返し言われたエストラゲンテープでさえ、「やってらんない」と剥がしてお風呂に入るつまこのことだから、うっかり飲み忘れても「少し遅れたけどどうせ問題ないよ」とおおらかに虚偽申告の上で移植に臨まれる可能性が大なわけで。

 

医師の説明があったあと、コーディネーターから移植日のことについて説明を受ける。当日は10時集合で、当日の移植者数にもよるが移植が行われるのは10時30分ぐらい。移植自体は数分で終わるらしい。

「それは麻酔するのですか?」とおびえるつまこに対し、麻酔はしません、と笑顔で答えるコーディネーター。ただ、カテーテルは比較的やわらかくて細いし、採卵のような痛みはないのだそうだ。

ポイントは、移植の時間までおしっこを我慢していなければならないこと。それは、女性の体の中身の問題の為で、膀胱が膨らんでいないと子宮がそちらに向かって倒れる形になってしまい、受精卵を子宮に入れるカテーテルの通りが悪くなる。その分、適切な場所に受精卵を入れるのが難しくなるということで。

とはいえ、直前にエコー検査をするので、そこで膀胱近くをぐりぐりやられた際に漏らしちゃゃった、となっては元も子もないから、限界ぐらいまではおしっこをため込むのが理想なのだろう。

これも、普段からトイレコントロールで練習をしておいてほしい、とコーディネーター。「わかりました」と神妙に答えたつまこだったが、帰り道で「そんなの私は大丈夫だよ。練習なんてする気がない」と一蹴。一応「子宮が曲がってると移植の時に痛いんですよね。そうならないようにおしっこの練習はしておいたほうが絶対いいんですよね」と質問して脅しておいたけど、効果はまるっきりなかったという事だ。