オバフォー夫婦の高度不妊治療日記(夫版)

夫の側から見た、高度不妊治療および超高齢出産について記していきます。

移植準備(4)ふかふかのベッドができるまで

そうこうしながら整えてきた移植準備の日々。

これはいったいどういうことをしていたことになるのか、ということについて説明することを忘れていたことに気がついた。

エストラゲンパッチのかゆみだとか、飲み忘れたらいけないルトラールだとか。そもそも何でこんなことをしなければならなかったのか。

 

答えを一言で書いてしまうと、要は「疑似排卵状態」を作り出すための作業をしていたのである。

受精卵を母体の子宮に着床させ、妊娠を発生させるためには、子宮がそれに向かって順調に準備を進めていることが必要である。

自然妊娠なら、そのタイミングは排卵と同時に整えられるのだけれど、つまこのような、排卵直前の卵を外に取り出して勝手に受精させ、それを元に戻す、ということになると子宮の側が準備OKとはならない。

そこで、ホルモンを外部から注入して子宮に「排卵期かも」と錯覚させ、着床に向けた準備を促すのだ。

これを、医師たちは「卵を迎え入れるふかふかのベッド」と呼んでいた。

 

ここにエストラゲンパッチについて補足しておきたいのだが、後になって調べてみたところ、エストラゲンパッチは不妊治療のために開発されたものではなく、そもそもは「更年期障害の治療用」として用いられる薬であるようだ。ということで、「歳を取った人のための不妊治療薬を使わされているのだな」と誤解していたのだけれど、上記の理由によるもので、女性ホルモンを補充する、という行為は同じであっても目的は異なっているわけで。

女性ホルモンが増えた駄犬、つまこはこの薬を使ってから「胸が大きくなった」といっていた。確かに、形がまん丸になってかっこいいおっぱいになったように思う。ただ、本人は別にそれを嬉しがっている様子でもなく、「体全体が下に押しつけられている感じ」がするのだとか。

あと、これを貼り始めたころとあいまって、つまこの鼻水が止まらなくなった。夏風邪かと思っていたらあまりに長かったので、これもこの強制的ホルモン注入が影響しているのかもしれぬ。 

 

しつこく書くが、エストラゲンパッチは、かゆい。

しかも、貼るパッチはだんだん増えてくる。貼り始めて2週間後には4枚、その2日後には6枚、移植日3日前には8枚と加速度的に増えて行った。最後のあたりになると、どこに貼ったらいいのか、候補先がなくなるくらいである。

さらには、移植日前日のテープは下腹部には貼らないでほしいとの条件まで付されてしまった。移植中もテープは貼ったままにしておくのだが、当日エコー検査であのヌルヌルを塗るので、剥がれやすくなってしまうから、とのこと。

 

飲み薬のルトラールは、移植直前の28日から始まった。これはただ飲むだけだからつまこの負担はないのだけれど、ポイントは前回の診察日に何人もの関係者から「絶っっっっ対、飲み忘れないでくださいね、特に初日」と脅されていたこと。KAWAもスケジュールに入れて管理するなど、つまこが忘れないように監視していたのだが、

意外とそういう時になるとしっかり者スイッチが入るつまこさん。初日はKAWAが気付いたころにはしっかり飲んでいて、その後も何回か忘却の危機に際したこともあったけれど、そのたびに何とか回避できて。

 

こんな感じで、意外と一番バタバタしていた時期、という印象が残った移植準備期。

それらを整えて、ようやく移植を迎えることになる。