オバフォー夫婦の高度不妊治療日記(夫版)

夫の側から見た、高度不妊治療および超高齢出産について記していきます。

医者選び(1)

かくして不妊治療再開の火ぶたが切って落とされた。

しかし、ここで油断してはならない、とKAWAは肝に銘じていた。

なんせ、つまこはめんどくさがりなのである。

 

少々脱線になるけれど、例えばプロポーズから結婚に至るまでの過程がそうだった。

KAWAは、女性は結婚にあこがれを抱いているものだし、したいこととかこだわりとかが無数にあるだろうから、入籍から結婚式に至るまでこちらの意見は言わず、いわばみこしに乗った状態で任せておけばいいだろう、と思っていたのだが、そんな放置プレーをしているとつまこがキレはじめた。

つまこはハウツー本を図書館で見つけ出して借りてくるのは得意だけれども、情報収集はそこで完結してしまう。当然それだけでは前に進めず、情報を整理して道しるべを立てなければいけないのだけれど、そこは面倒くさがって手を付けないのであっという間に立ち往生する。

「もういい、結婚はしばらく後にしようか」

そんなことで結婚を遅らせられてたまるか、と慌てたKAWA。まずはつまこの希望を忍耐強くヒアリングすることから始めることになった。ただ話を聞こうとするだけでは、白紙に絵を描けと言うのと同じで、また動き出すのが億劫になってしまう。KAWAはつまこが集めてきた情報にネット情報で味付けを施し、いくつかの選択肢を提示。この選択肢提示も大事なポイントで、つまこは自分で物事を決められない一方で人が勝手に決めたことには意地でも従わない心意気の持ち主なのである。最終的には「じゃあ、3つ目の選択肢でいいや」と言われ、そこから二人で作業を分担する。

…こんな一連の流れが面倒臭いと思う独身男性は、結婚を考え直した方がいい。たいていの夫婦は同じような儀式を経ることにより夫婦円満を勝ち取っているのだ。

 

余談が、過ぎた。(←司馬遼太郎風に)

 かくして帰国したKAWAまず行ったのは、インターネットを通じた情報収集である。

ありとあらゆる情報が流れているインターネット。特に不妊治療はホットな話題で、そのためには金を惜しまない人々も無数にいることも事実。すなわち玉石を合わせれば大量の情報がネット空間に流れているのである。羅針盤となるコンセプトを定めたうえで探さないと、途端に遭難してしまうのである。

今回のコンセプトは一つだった。

「痛くない」

不妊治療は精神的にも物理的にも過分に奥さんの負担が大きい。旦那にできるのはその負担をできるだけ軽くしてあげることぐらいだ。

その為にはカネに糸目をつけている余裕はないし、場合によっては若干の治療の成功率の差も目をつぶる必要があるだろう。

そう考えながら情報を収集していると、選ぶべきクリニックにつき3つの候補が浮かび上がってきた。

1つ目は品川のAクリニック。ここは名古屋のクリニックが品川に進出したらしい。そこの院長先生はつまこの借りてきた不妊治療本の著者でもあり、かなりの有名人。また本に書いていることも納得度が高いものであった。

2つ目が新宿のKクリニック。ここは人気の高いところとして知られるクリニックで、友人も何人か通ったことのあるところである。ここは採卵に麻酔を使わないけれども、細い針を使うので痛みが少ない、というのが売りの一つで。

3つ目が銀座のHクリニック。ここは「女性に寄り添う」がコンセプト。悩み相談なども充実しているとのことであり、心理的な負担軽減にはいいのではないかと思った。

他もいくつか見たけれども目移りするばかりだし、ホームページからうかがえる情報はたかが知れているのでどこも似たり寄ったりになってしまう。

まずはこの3つのクリニックから選んでみようか、ということになった。