オバフォー夫婦の高度不妊治療日記(夫版)

夫の側から見た、高度不妊治療および超高齢出産について記していきます。

医者選び(2)

かくしてクリニックの候補を定めたKAWA夫妻。

こうなれば後は見に行くのみ、と説明会に乗り出してみた。

以下はあくまでKAWAの主観。営業妨害も宣伝もするつもりはないので、そのつもりで読んでいただければ、と思う。

 

まず訪ねたのが銀座のHクリニック。

秘かにここは、KAWAの中ではポイントが高かった。というのも、院長先生が女性でスタッフも女性中心、とにかく妊活女性の気持ちに寄り添う方針を前面に出していたからだ。

説明会当日は待合室に椅子が並べられ、ぎっしりと30人ぐらいが入っていただろうか。いつも思うのだが、いろんな人たちが来ている。ごくごく普通のサラリーマン夫婦からヤンキーっぽい夫婦、果ては「あなたたちはちょっともう無理じゃない?」と言いたくなるような年齢層の夫婦。しかし、何かしらおかしなところがあるようには見えず、総じて「フツー」である。

このクリニックは毎月説明会を開いているはずで、毎回同じくらいの患者が詰めかけるのだろう。前に行ってたクリニックでも同様のことを思ったのだけれど、これだけ多くのフツーの人たちが不妊治療の門を叩くと言うのは、既に大きな社会問題と言っていいのではないだろうか。それでも不妊治療、という言葉の響きに後ろめたさがあるのか(正常に子供を産めなくてごめんなさい、という感じ?)、それはあまり公にされないように思える。

理不尽だ。

政府も少子化対策だなんだと言って子育て支援金をふるまうだけでなくて、こういう不妊治療についても、例えば医者の数を増やすとか、研究施設に資金を投じるとか、といった形でもしっかりと支援する体制を作ってもらいたいものだと思う。

 

さて、期待していたHクリニック。

結論から言うと、説明会を終えた後のKAWAの頭には、ぼんやりとした不安のみが残ったのであった。

説明に出てくるのは看護婦や培養士のお姉さんたちで、この人たちの話を聞いていても頼りなさを感じる。説明もありきたりな感じで、前回の治療から何が変わるのか、という考えがKAWAの頭の中で生み出すことができない。おまけに、期待していた「不妊カウンセラー」もごくごく普通のおばさんが出てきて資料を棒読みするだけ。つまこが本当につらい思いをした時に、果たしてこのおばさんに救ってもらえるのだろうか、というと、失礼ながらはなはだ疑問に感じた。

ともあれ、KAWA夫妻はタイムリミット直前なのである。そんな中、貴重な時間と大金をここに費やしている余裕はないと思った。

ということで、このクリニックについては「空振り」した思いになってすごすごと帰る。

 

では、東京で一番有名といわれる新宿のKクリニックはどうか。

ここは説明会の予約を電話で取るのだが、昔の人気歌手のコンサートチケットを取るような感じであって、つまこが受付開始10時からずっと電話をかけ続けてもお話し中。10分後にようやく電話がつながったと思ったら既に満席というとんでもない状態だったそうで。

だからね、それだけ不妊に悩んでる夫婦は多いわけであって、それに対して政府は…(以下同文)

結局、Kクリニックのホームページからつながった、そのクリニックののれん分けと思しきSクリニックの説明会に行ってみたのだけれど。

ここはさすがで、説明がしっかりしている。院長先生によるスライドを用いた分かりやすい説明でふむふむなるほど、と思わされて。

治療費についてもわかり易く、成功報酬制になっていた。それ自体は安心感があるのだけれど、問題はその体系だった。女性の年齢によって細かく成功報酬が分かれており、つまこの43歳から、というのは最大値になっていたのだ。高齢出産になればなるほど成功率が下がるというのはわかるが、「アンタ達が子供を欲しいと言うならそれなりのものを出してもらうから」と言われてるような気がした。

しかも、振り返ってみると説明会後の相談対応として、そこの医者が沢山詰めかけている(そんなときにも白衣を着用しているのはあまりにわざとらしくないか?)。そんな時間があるのなら、患者に専念してくださいよ、とか思ってしまう。

そしてその成功率も別に高いわけではなく、43歳だと10%を切ってしまう。それが厳しい現実なのだと思うし、とかくこのクリニックが駄目というわけではないのだろう。

けれど、やはりなんとなくフィーリングが合わない。不妊治療と言うのは賭けであって、いいところにかかれば絶対うまくいく、という代物ではないのである。だからこそ、この最後のチャンスに「このクリニックに託してダメだったのだから仕方がない」と思えるようなところでないと、後悔ばかりが残ると思った。

そういう理由で、このクリニックも見送り。これでツーストライク。