つまこ、治療開始
では、再び不妊治療の経過に戻ることにしよう。
記録を見ると、品川Aクリニックの説明会に行ったのが5月10日のこと。
ここでパスキーをもらってホームページの特設ページに入ってEラーニングを受ける。それが終るとまたパスコードが出てきて、それを使ってようやく初診受付に進むことができるというわけだ。
前にも書いたが、気分は大学時代の憲法学のウルサイ教授の授業を受けたときと同じである。内容をせっせと頭に入れたうえでパスコードをゲットし、そのまま初診予約を行った。これが土日は不可、ということだったのでつまこひとりにいってもらうことにし、5月29日に品川の門を叩いてもらうことになって。
ちなみに、初診に持っていかなければならなかった書類は以下の通り。
・受診希望者の同意書
・女性ホルモン使用中の静脈血栓塞栓症同意書
・風疹の抗体価の確認と風疹ワクチンにかかる同意書
・夫婦の記入済み問診表
・夫婦二人分の保険証
・戸籍謄本
・検査結果(もし持っていれば)
これを見ただけでも、生殖医療とはとてもナイーブな現場なのだという事がわかる。治療における副作用はあらかじめ知っておいて責任は取ってくださいね、というのはどこの病院でも同じことだけど、戸籍謄本まで必要となると言うのは、夫婦以外の子供をこっそり作りたい、なんて例があって、後程面倒なことになったりしたんだろうね。
本来なら初診は、つまこの体を簡単に調べてから説明があり、生理の予定を見ながら今後の治療スケジュールを立てて行く、というものなのだが、たまたまその日はつまこの生理2日だった、ということで、即治療がスタートすることになった。
今更読み返しても何のことやらさっぱり、というのが正直なところなのだが、ここで彼女が受けた検査について、診療明細書をもとに書き出しておく。
・生化 10項目以上
・プロトロピン値 APTT検査
・TSH(甲状腺刺激ホルモン)
・クラミジア抗体検査
・抗甲状腺ヘルオキシダーゼ抗体
・抗CL・β2GPI抗体
・FT4(甲状腺ホルモン)
・末梢血液一般検査
・エストラジオール検査
・アンチミューラリアンホルモン測定
・LH-RHテスト
・プロラクチン
とざっとこんな感じ。
実際は全部血液検査で、薄れかけているつまこの記憶では、それほど時間がかかったというものでもないらしい。
そして、その後も採卵時期を探るために必要なデータ「E2」「FSH」「LH」についても調べていたのだが、これについては後述する。
そしてこの日つまこがもらってきたお薬は「クロミッド錠」「ジュリナ錠」の2つ。
クロミッド錠は女性の排卵を誘発させる薬であり、ジュリナ錠は血管運動神経症状や腟萎縮症状に対するお薬なのだそうな。どうやら後者は中年のつまこのために処方された薬らしいが、要はそうやって排卵をコントロールし、卵が取りやすい状態に持っていく、そういう活動がこうして始まったわけで。